伊藤 尚子
今回の作品は得意とする象嵌ではなく,日常生活で使っていただけるような食器です。この陶器に実はりんごが使われています。制作活動を行っている深川のものを作品に使いたいという思いから,りんご農家の方にお願いして,剪定したりんごの木を燃やしてもらい,その灰を釉薬にして制作したそうです。深川の作品ということで,道の駅「ライスランドふかがわ」(深川市音江町字広里)でも展示,販売されています。
趣味で陶芸を始めたという伊藤さん。作品をつくっていくうちに段々とその楽しさに入り込んでいき,一時は本州に出てきちんと勉強しようと思いましたが,「北海道なら北海道で勉強した方が良いよ」とのアドバイスを受け,北窓窯の吉田時彦先生の門を敲きます。吉田先生の指導を仰いだ翌年には,出展した公募展に早くも入選,その後も数々の公募展で入選しています。特に評価を受けているのが象嵌の作品で,見ただけで伊藤さんの作品とわかる人も増えてきているそうです。北海道らしい「おおらかで,伸び伸びとした」作品づくりを心がけていますが,北海道でこうした作品をつくる作家がいることを,本州でも認知してもらいたいと考え,最近では京都の女流陶芸展にも出展,入選するなど評価を高めています。
作品づくりだけに没頭していると,「すかすかになってくる」のではないかとの思いがあり,何からでも刺激を受けるように意識しているそうです。美術館にいったり,音楽を聴いたり,日常生活の中で受ける刺激は,必ず作品に現れてくると言う伊藤さん。常に新しい刺激を求め,新しい作品に挑戦しています。